それが愛ならかまわない
じわじわと周りから浸透させるやり口はとても巧妙だ。はっきりと意思表示してくれればきっぱり断る事も出来るのに。
ただこの先ここで働く以上同期なんてどう決着をつけてもずっと顔を合わせ続ける事になる。こういう面倒が嫌で社内の人間とどうこうなるのは避けてきた。
「さ、昼休み終わるよ。急ごう」
強引に話を終わらせる。
幸い溝口さんが素直に頷いてくれたので、私は曖昧な答えのままはぐらかすことに成功した。
会社では仕事だけに集中していたい。そう思っているのに、中々現実は理想通りには行かないらしい。
隣を歩く溝口さんに気付かれないようにそっと私はため息をついた。