それが愛ならかまわない

「篠塚がプライド捻じ曲げてまで『自分から』誘って来たから」


「!」


 嫌な奴嫌な奴嫌な奴!
 何で人の思考や行動見透かしてるの。しかもそれを口にするあたりデリカシーがない。いちいち当たっているだけにこっちは文句も言えない。しかも「暴露されては困る秘密」を椎名に握られているのだから尚更だ。
 椎名がこんな性格だなんて思っても見なかった。


「俺もシャワー浴びてくる」


 返す言葉が見つからなくて唇を噛む私を横目に、そう言って椎名がベッドから立ち上がる。
 何も身につけていないその姿に、何となく眼のやり場に困ってそっと視線を反らした。やっぱり夜と違って明るい朝の光の中では抵抗がある。


「チェックアウト何時?」


「十二時」

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