それが愛ならかまわない
「おー、珍しいツーショット」
「え、長嶺さん?!」
事もあろうに入店してきた客は長嶺さんだった。
愛想良く手を振りながら近づいてきた彼を見て椎名も驚いた顔をしているから、示し合わせて来た訳じゃないんだろう。
まさかここで会社の人間、しかも長嶺さんに会うとは思っても見なかった。
「折角だからそこ座っていい?」
ダメだなんて言える訳がないのでコクコクと頷くと、長嶺さんが私の隣の席に腰掛ける。三人並んでカウンターに腰掛けているのはなんだか不思議な光景だった。
「長嶺さん、このお店知ってたんですか」
隠れ家にしていた椎名が人に紹介するとは思えない。
「いや、別の店でここのカレーが美味いって聞いて。看板とか出してないし知る人ぞ知る店なんだってね」
「椎名君の会社の方ですか」