それが愛ならかまわない
「……」
本当に長嶺さんて人をよく見てる。的確に言い当てられては返す言葉がない。
ちらりと椎名の方を見るといつもの素知らぬ顔でスマホを眺めていて、長嶺さんの指摘を彼がどう思ったのかは分からなかった。この間帰り道で会った時には比較的長嶺さんには気安い様に見えたけれど、なんだかんだ椎名のガードも相当固い。
「うわ、これ美味っ!」
運ばれてきたキーマカレーを口にした長嶺さんが歓声を上げて、矢吹さんと談笑している。
今更尋ねる事も弁明する事も出来ずに私は言葉を飲み込んだ。
「仕事あるんで先に出るわ」
椎名が代金をカウンターの上に置いて立ち上がる。
「え」
「矢吹、ごちそうさん」
「おー、またな」