風が、吹いた
放課後の過ごし方





放課後、少し急ぎ足で、自転車置き場に行くと、椎名先輩が自転車のサドル部分に腰掛けて待っていた。




「お待たせしましたか?」




と聞くと、彼は笑って。




「ううん。大丈夫。」




と答えた。



クラス内で聞いた彼の評判と、自分が目にする彼の印象に、余りにギャップがあって、戸惑う。



だって、ほら、彼はこんなにも優しく物を言う。



まるで、小さい子に物を言うみたいに……



ーん?小さい子…



昨夜、彼の腕の中であやされながら、泣きじゃくった自分を思い出す。



顔が熱くなるのがわかる。


私…高校生に見られてない、とか?



いやいや、制服着てるし、それはないと思うけど、なんていうか、大人が子供に対するのと同じ気持ちで接してくれてるのかな?



そしたら、私たちって親子?友達じゃなくて、親子なの?
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