風が、吹いた
脳内がプチパニックを起こしている。
ーでも、うん。きっとそうだ。
私が空を見ながら寂しがってるのをみたりなんかして、捨てられた子犬を拾う飼い主のような気持ちになっちゃったんだ。
鬼の目にも泪って言うし。
だから、先輩はこんなにも自分に優しいんだ。
「さっきから百面相してるけど、大丈夫?」
クスクスと笑い声をこぼしながら、先輩が尋ねたくれたおかげで、私は自分の思考から脱することができた。
「…あ、いや。すみません。ちょっと考え事を…とっ、図書館、行きましょう!」
そう言って、自転車のかごに荷物を乗っけて、サドルに跨る。
先輩が今日乗っている自転車はクロスバイクで、マウンテンバイク同様かごがついてないタイプ。鞄は背中に背負っている。