風が、吹いた
なんていうか…やっぱり好きだな、この家。
ぼーっと見とれている私をよそに、先輩は靴のまま奥へと歩いていってしまう。
「えっ、えっ」
戸惑う私の声に、先輩は振り向いて。
「ここは欧米式」
いたずらっぽく微笑んだ。
「お、お邪魔します…」
慣れない私は気が引けて、もう一度そう言ってから、先輩の後を付いて行った。
両脇には部屋がひとつずつあり、曲線状にくりぬいたような入り口を通ると、リビングに出た。