風が、吹いた
「暖房入れるね。適当に座って。」
そう言うなり、先輩は足元にあるヒーターの電源を入れる。
広がったリビングには明るい色の木製のテーブルと椅子が2脚あって、反対側にはモスグリーンの1人掛け用のソファがあった。
物はほとんど置いていない。
ただ、壁に沿って立っている棚が2つあって、そこにはぎっちりと難しそうな本が並べられている。
カウンターキッチンは、煉瓦造りで重厚感を醸し出していた。
しっかりとした造りのせいか、部屋の中は最初から暖かい。
さらにヒーターから暖かい空気が送り込まれ、冷たくなった身体は、温まりつつある。
「素敵な家ですね。」
一通り眺めた後、荷物を脇に置いて、キッチンに近い、木製の椅子に座った。