風が、吹いた
キーンコーンカーンコーン
年相応の騒がしさが、教室や廊下中に溢れている。
昼休みの高校は、他の時間より、特にそれが強かった。
五月蝿いのは苦手だ。
私は早々に教室を後にして、屋上につながる階段の踊り場へと向かう。
まだ寒くもないし、人も滅多に来ない。私の定位置になりつつあるー
筈だったのだが。
「寒…」
着いてみると、屋上の入り口の、錆びたドアの隙間から、冷たい風が、階段を駆け下りてくる。
「誰かいたのかな。なんで開けっ放しなんだろ…」
寒さに顔をしかめながら、階段を上り、ドアノブをまわした。
が、閉めようとしたはずが、風が強まって、反対に開いてしまった。
「った!」
思い切り額をぶつけて、その痛さにしゃがみこむ。