風が、吹いた



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休み時間の度、吉井と攻防戦を繰り広げながら、やっと昼休みを迎える。



吉井はグループの子に誘われて、名残惜しそうに私に背中を向けた。



心身ともにぐったりな私には、待ちに待った貴重な時間だ。



教室の出口に座る浅尾は、今日は早々と席を立って、私が通る頃には居なかった。



今日は、おにぎりと温かいお茶を持って屋上へと向かう。



首にはマフラー。手には手袋。



もう屋上はさすがに寒い。


ガチャ


ドアノブを回すと、冷たい風が頬を掠める。




「寒っ」




思わず声をあげてしまうほど。



風避けになる壁がある位置に、小走りに向かう。
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