風が、吹いた



彼女は急にコンクリの床の上に四つん這いになると、私を睨みつけたまま、にじり寄ってくる。




ーこ、こわっ…



私もそれにつられるように、後ろに後ずさりする。もちろんおにぎりは片手に。





「止まりなさいよ」




赤く腫らした瞼が痛々しい。




「…な、なにか御用でしょうか…?」




仕方なく止まって、恐る恐る尋ねてみる。




「あなた……椎名先輩の何なのよ」




それは…




「友達……です…」




彼女の動きがピタッと止まる。




「友達ぃ?」




嘘は、吐いていない。
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