風が、吹いた
なのに。
「そんなわけないでしょ…あの人はそんなもの、作らないわ。」
視線を下に落とすと、彼女はそう呟いた。
「あの…あなたは??」
本当はこの質問は、椎名先輩が尋ねてあげるべきだったのだけれど。
「2年F組。松下佐奈よ。」
ふぅ、と悩ましげに息を吐くその姿も可愛らしい。
「あなたのことは、知ってたわ。最近椎名先輩の近くをちょろちょろしているらしいわね。最初は、あなたの方が、近づいているだけかと思ったの。でも、違うらしいから…焦って、告白したのが失敗だったわ。もっと落ち着いてから、と思っていたのに。」
なぜだか自分が責められてる気がしてくる。
「すみません…」
なんとなく、謝ってしまう私。