風が、吹いた



知らない人みたいだった椎名先輩のことを恐いと確かに感じた。



でも、自分の中で、どちらが本当の彼か、なんてどうでもいいことだった。



彼は、最初から、私に優しかった。



だから、私はこれからも、普通に毎日過ごすものだと思っていた。



なのに、会えなかった。



話せなかった。



会いにいけなかった。



こんな自分が、不甲斐なかった。




一緒に居たいと、思ってしまう自分が、許せなかった。
< 166 / 599 >

この作品をシェア

pagetop