風が、吹いた





のろのろと、いつもより一層遅く感じる授業を二限目まで消化すると、次の時間は体育だった。




「くらもっちゃん、一緒に行こうよ。」




着替えを済ませて、体育館に向かおうとすると、吉井が声を掛けてくる。



正直、集団行動は得意じゃないし、好まないけど。




「ほら、バスケだし、どうせ向こう行ったらグループ組まなきゃでしょ?私、くらもっちゃん入って欲しいし。」




吉井なりに、気を遣ってくれているのかもしれない。




「うん。」





珍しく、私は素直に、吉井の言う通りにすることに決めた。
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