風が、吹いた




「、、びっくりした…」




自転車置き場にたどり着いて、ほっとする。



ーこれからは、しばらく3年とは時間差で、もう少し早く出るか、遅く出るかしよう。



もしかしたら、向こうは、私の顔なんて覚えていないかもしれないけど、なんとなく嫌だから、そうしよう。




私はそう心に決めた。



平常心を取り戻そうと、ふー、と軽く息を吐く。



「よし!」



気合を入れてから、自転車のかごに鞄を乗っけて、跨ろうとした瞬間。




ーひっ!



例の彼が校舎からこっちに向かってきているのが見えて、ドキリと胸が鳴る。



どうやら、彼も自転車通学らしい。




ーうわーん。




半泣きで、逃げた。



顔を見られなかったことを祈る。


< 18 / 599 >

この作品をシェア

pagetop