風が、吹いた
「、、びっくりした…」
自転車置き場にたどり着いて、ほっとする。
ーこれからは、しばらく3年とは時間差で、もう少し早く出るか、遅く出るかしよう。
もしかしたら、向こうは、私の顔なんて覚えていないかもしれないけど、なんとなく嫌だから、そうしよう。
私はそう心に決めた。
平常心を取り戻そうと、ふー、と軽く息を吐く。
「よし!」
気合を入れてから、自転車のかごに鞄を乗っけて、跨ろうとした瞬間。
ーひっ!
例の彼が校舎からこっちに向かってきているのが見えて、ドキリと胸が鳴る。
どうやら、彼も自転車通学らしい。
ーうわーん。
半泣きで、逃げた。
顔を見られなかったことを祈る。