風が、吹いた








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電車を待つホームで、吐く息が白いな、とぼんやり思った。




―ねぇ、くらもっちゃん。



私は、どうすれば、よかったのかな。




この先、くらもっちゃんが、傷つくのかもしれないと思うと胸が痛むんだけど。



でも、止めるべきなのか、わかんないんだ。




初めてみる、彼の痛々しい表情に。



同情しちゃったのかな。




人間らしい感情に、同調しちゃったのかな。




だけどね。




椎名先輩がくらもっちゃんに抱く想いだけは。




信じていいんじゃないかって。



本当に自分勝手だけど。



そう思ったんだよね。
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