風が、吹いた
思い出したくないけど、私を見つめる彼の目が、思い出すようにと言っている。
椎名先輩との会話…?
何、話したっけ…
さびしかった。
うん。確かに言った。
椎名先輩に嫌われたわけじゃないことがわかって、
それで…
良かったって言って…
…………
友達じゃ、嫌だって……
思った……?
それで… … …
「………………!!!!!!」
記憶を手繰りよせて、声に出してしまったらしい心の言葉に、思い当たった私は、思わず、彼の隣で、仰け反る。
そんな私に彼は。
「千晶、もう一回言ってくれる?」
と言って、優しく笑った。