風が、吹いた




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「どうぞ」




カタリ、という音と共に、目の前に置かれた白いプレートには、



美味しそうなジェノバソースを絡ませたパスタ。



湯気の出るそれを見て、思わずごくりと唾を飲む。




「シンプルだけど、意外と美味しいんだよ」




ここに来る通り道のパン屋さんで買った焼き立てのフランスパンと、自家製ドレッシング付きサラダもついていて、私はもう何も言うことはない。




ー『リーズナブルなレストランにいかない?』




駐輪場につくと、椎名先輩がそう提案した。



リーズナブルは大歓迎だが、この近くに、そんなお店があっただろうかと、首を傾げながら、先輩の後を着いていった。



道中、【famille(ファミーユ)】というパン屋さんに寄ったために、益々首を傾げた。



そして、着いた場所が、この森の中の白い家、つまり彼の家だった。




『…先輩?』



ハテナを頭の上に乗っけている私の手を掴んで、彼はずんずんと奥へ。



初めて来た時に私が座った椅子を指差して。




『そこに座ってて。』




と言った。



そして、今に至る。



「先輩って、本当に何でもできるんですね」



あまりの手際の良さに、呆然としながら呟いた。

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