風が、吹いた
昇らないで太陽
落ち着かない、冬休みだ。
朝、ピンポーン、とインターホンが鳴る音で目が覚める。
誰かと思うと。
「おはよう」
椎名先輩が何故か玄関にいる。
寝ぼけ眼で、時計を確認すると、6時にしか見えない。
「…何の用ですか…」
私寝たの朝の2時なんですが。
「顔見に来た」
うん、でも、どう考えても…
「非常識じゃないですか?」
椎名先輩自身も、バイトをいくつも掛け持っていて、時間がないと思うのに、彼は毎朝私に会いに来る。
―顔見るだけでいい
その言葉を、彼は律儀に守っている。
「…入ります?」
そう言えば、先輩は嬉しそうに頷くので、ついつられて私も笑顔になってしまう。
ホットココアを2つ作って、小さなテーブルに置いた。