風が、吹いた
昇らないで太陽



落ち着かない、冬休みだ。


朝、ピンポーン、とインターホンが鳴る音で目が覚める。



誰かと思うと。




「おはよう」




椎名先輩が何故か玄関にいる。



寝ぼけ眼で、時計を確認すると、6時にしか見えない。




「…何の用ですか…」



私寝たの朝の2時なんですが。




「顔見に来た」




うん、でも、どう考えても…




「非常識じゃないですか?」




椎名先輩自身も、バイトをいくつも掛け持っていて、時間がないと思うのに、彼は毎朝私に会いに来る。




―顔見るだけでいい




その言葉を、彼は律儀に守っている。




「…入ります?」




そう言えば、先輩は嬉しそうに頷くので、ついつられて私も笑顔になってしまう。



ホットココアを2つ作って、小さなテーブルに置いた。


< 224 / 599 >

この作品をシェア

pagetop