風が、吹いた
ますます首を傾げて、もう首が痛くなりそうだ。
「どうしたの。」
そんな私を見て、彼はもう笑みを隠さなかった。
「いえ…どうしてここにバイトに来たんですか。」
迷った挙句、口に出してみた。彼は、やっぱりね、と予想していたような反応を見せて。
「別に。特に理由はありません。コーヒー好きだし。」
突き放すような答えに、私はムッとした。
ーもういいか。これ以上は訊かない。
答える気が更々ないのが伺える。
親の承認印を確認して、履歴書をクリアファイルに入れ、机に置いた。
「じゃ、面接を終わりにします。佐伯さんに声をかけてくるので、ちょっと待っててください。」
つっけんどんに言って、席を立った所で。
「ねえ」
呼び止められ、え、と下に向けていた視線を前に戻す。
彼はじっとこちらを見ていた。
「なんで寝転んでたの。」
「〜〜〜‼︎」
私は本当に自分が可哀相でしょうがなかった。