風が、吹いた
________________________
「……どうしよう」
場所は、椎名先輩の家。
朝昼とパンぽいものを食べてしまったので、夜はご飯物にしようと決めたのだが。
「そばもいいな」
年越しなんだし、蕎麦も欲しい気がしてきた。
張り切って、今回は私が作ると台所をお借りしている。
「両方作ったら?」
悩んでいる私に、椎名先輩が提案した。
「蕎麦だけじゃ、お腹空いちゃうし」
そう言って、粉と、蕎麦打ち道具を差し出す。
「まさか…」
考えるために組んでいた腕を思わず解いた。
「打てとか、言わないよね?冗談だよね?」
「だって、家に蕎麦ないもん」
「………」
喜んで外にインスタント買いに行きますとも。