風が、吹いた
ガールズトーク
ピンポンピンポンピンポン
うるさく鳴り響くインターホン。
むくり、と体だけベッドから起き上がるが、目は開かない。
…居留守、使おう。
靄のかかる頭で、良いことを思いつき、もう一度ベッドに横になる。
が。
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
倍速になった呼鈴に思わず耳を塞いだ。
「うるさ…」
痛いほど目をこすって、ぐわんぐわん鳴るインターホンを止めるべく、魚眼レンズを覗く。
「………」
思考が、一瞬止まる。
ー何故、吉井がここにいるんだろう。
考えている間も鳴り止まない騒音。
仕方なく、鍵を解いて、ドアを開けた。
「おっはよー」
にんまり、笑う彼女は、良くも悪くも、去年のままだ。
「…なんで。家知ってるの?」
無意味なVサインをして、えへへと笑う彼女を見ながら頭を抱えた。
「小澤が教えてくれたー」
頭の中で、小澤の愛車をパンクさせて怒りを制御する。
「今、なんじ?」
いまだはっきりしない意識の中、たずねると、
「12時ー!」
私と正反対の明るい返事がした。