風が、吹いた
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正月のショッピングモールは、人でごった返していた。
私は吉井に連れられるまま、フードコートに来ていて、なんとか席の争奪戦に勝利し、窓際のテーブルに座っている。
「…なんかさ、くらもっちゃん、疲れてるね。」
吉井が、ジンジャーエールに刺さっているストローを噛みつつ、今更ながら、訊いてきた。
「だって、帰ってきたの、朝8時だし。」
本当にだるい身体をさすりながら、言うと。
「え!どっから帰ってきたの!?」
と、喰いついてくる。
「………」
黙る私を見て、ピンと来たらしい吉井。
「先輩ん家だね?」
にやりと黒い笑顔を見せた。
「泊まったの?年越したの?」
この質問はできればしてほしくなかった。
「それがー……」
自分の、目が泳いでいるのがわかる。
「年明ける前に、私眠っちゃったんだよね」
「はぁー?」
案の定、吉井が心底呆れた顔をして大きく溜息をついた。