風が、吹いた
「年越しに行って、年越さないで帰ってきて、どーすんのよ」
ごもっともです。
所在なさげに俯いて、コーラを飲みこんだ。
「で?」
ーで?
吉井の、先を促す言葉に、思わず彼女を見つめる。
「………?」
バァンという音と共に、吉井が立ち上がった。
テーブルを両手で叩いた音だったのかと、一瞬おいてから、理解する。
ー怖い。
必然的に身体が固くなった。
据わった目をして、こちらを睨む彼女は、ジンジャーエールで酔っ払ってしまったのだろうか。
盛大な溜め息をもうひとつ落としてから、彼女は口を開く。
「まさか、男の家から朝帰りして、何もないってことは、ないよね?」
「え?」
きょとん。
まさに今の私を表すのに相応しい副詞。
「…そうなの?」
逆に訊き返してしまう。