風が、吹いた
『ううん。大丈夫だよ。ちょっと遠出しちゃったしね』
彼は確かにそう言ってくれて。
心地良い朝だった。
2人とも、お腹が空いてないこともあって、彼が淹れてくれたミルクティーをまったりと飲んだ後、先輩は私を自転車の荷台に乗せて、家まで送ってくれた。
「……なんも、なかったよ。普通。普通だった」
残った氷をストローでかき混ぜながら、私はそう呟いた。
そんな私に、吉井が、そういえば、と口を開く。
「2人とも、好きだって言い合ったわけ?ちゃんとはっきりしたんだよね?」
誤魔化すことを許してくれない目が、私を素直に頷かせる。
何でそんなこと知ってるの?なんて無粋な質問はしない。
吉井はずっと前から、私のことなんて全てお見通しなんだろう。
そして私はこのお節介を、嫌いじゃなかった。
「じゃー、ふたりは付き合ってるわけだよね?」
これには首を傾げた。
「え。。。じゃなんで告白したの?」
吉井の質問に考え込んでしまう。
「なんでなんだろ」