風が、吹いた
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目覚ましの音に気づいて、起き上がった。
自分がいつの間にか眠っていたことに気づく。
凍えるような寒さで、部屋の中にいるのに、自分の息が白い。
最近ずっとそうだ。
「寒いー」
暖房をつけるべく、ベットの中からリモコンに手を伸ばして、布団ごと下に落っこちた。
「いったー…」
しばらく動けなかったが、そのうち仕方なく、立ち上がって、お湯を沸かすことにした。
「千晶」
支度を済ませて、外に出て鍵を閉めていると、椎名先輩の声がすぐ近くでした。
くるっと見渡してみるが、見当たらない。
とうとう幻聴が聴こえるようになってしまったんだと、軽く落ち込んでいると、
「下だよ、し・た!」
と、声が言う。
その言葉通り、目を下に向けると、椎名先輩その人が、鼻の頭を赤くさせながら、手をひらひらと振っていた。