風が、吹いた









休憩室に入ると、彼はテーブルの横にある椅子に座り、私はキッチンに立ちっぱなしで窓の外を見ていた。


しばらくの沈黙の後、とうとう彼は口を開く。




「ねぇ、俺のこと、嫌いなの?」




内心、驚いたが、外面は平常心を保って。




「いえ、別に。」




とだけ答えた。




「でも、なんか、態度が冷たい」




少し口を尖らせながら、椎名先輩は独り言のように呟いた。




「も、別に変な子だとか、思ってないから。」




軽く伸びをしながら、先輩はそう言った。



ーへぇ、私のことを変な子だって思ってたんだ。



むっとする気持ちと一緒に、捨てたはずの羞恥心がじわりと甦る。




「…先輩こそ…」




「ん?」




「先輩はどうしてあそこに居たんですか?」
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