風が、吹いた
反対に、吉井は険しい表情で緑茶を啜る。
「あんまり、詳しいことは言っちゃいけないし、幸は畑違いだけど一応他社だから接触もあんまり良くないんだけど…。何がそんなに気になるの?」
見かねたように、鈴木が手を止めて、訪ねた。
「スーちゃんに、迷惑掛けちゃいけないっていうのは、わかってるよ。本当にごめんね。」
吉井が、尚も難しい顔のまま、謝罪する。
「お言葉に甘えて言わしてもらうけど…気になってるのは、嘉納財閥の御曹司と森グループのお嬢様の結婚スクープなのよ。」
吉井が指定したここの店に個室があるのは、この話をすることを前提に考えていたからだった。
鈴木が追っかけている中に、この種のものがあったと、吉井は睨んでいた。
案の定、鈴木の表情は固い。