風が、吹いた




「椎名先輩格好良い!!またゴール決めた!」




それは教室の中でも、ベランダでも。



そして今しがた私に声を掛けてきた吉井のグループの子たちも、例外ではない。



これは毎日繰り返されている光景らしく、クラスの男子たちは気にすることもなく、それぞれの昼休みを過ごしている。




「くらもっちゃん、椎名先輩って知ってる?」




教室やグループの他の女の子たちが総立ちで、グランドに視線を持っていかれている中で、いつの間にか吉井だけがこちらを向いていて、最初とは違う質問を投げかけてきた。



しっかり者というイメージの彼女は、グループの中でもきっとリーダー格だろう。
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