風が、吹いた
次に目を覚ましたのは、夜中だった。
喉、渇いたな。
そう思って、体を起こそうとすると、ベットの左側に重みを感じる。
「…?」
不思議に思って、照明が消された中、必死に目を凝らす。
「あ、浅尾。だ。」
小さく、呟いた。
浅尾はベットの端っこに顔と腕だけのせて、眠っているようだ。
吉井と交代して、来てくれたんだろう。
仕事を抜けてくるのも大変だろうに、2人は本当にいつも私のことを考えてくれる。
黒くて真っ直ぐな髪を撫でて。
「ありがとう」
囁く。
と、浅尾の瞼がゆっくりと開き、暗闇の中で目が合った。
「くら…もと…?」
段々と、彼の焦点がはっきりしてくると、がばっとベットから顔を上げた。
「お前、大丈夫なの?」」
心配そうに私を見つめる彼に、頷いてみせる。
「ほんと、心配したぜ…」
浅尾は、はぁーっと深く息を吐いた。
「ごめんなさい…」
私は居たたまれない気持ちで、項垂れる。