風が、吹いた
次の瞬間、きゅっと優しく抱き締められた。
「あんま、心配させんなよ」
ぽんぽん、と大きな手が、私の頭をやんわりと叩く。
「…うん、ごめんね。」
もう一度謝ると、ぱっと腕が離れて、浅尾が小さいライトを点けた。
「水とか、飲む?」
頷くと、彼が冷蔵庫を覗くよーと言って、私が返事をする前に、ぱかっと開けた。
「………」
閉めた。
もう一度開けた。
閉めた。
「…お前さ…何食って生きてんの?」
あまりの空っぽ具合にびっくりしたらしい。
「吉井が、お粥作ってくれたから、なくなったんじゃないかな」
とぼけてみたけれど、呆れた顔をされてしまった。
「吉井が、空だよって言ってたのは、冷蔵庫のことだったのか…」
一度、頭を抱えてから、彼はコンビニへ買い出しに行ってくれた。
ほんと、申し訳ない。
へこむ。
でも、体はだるい。痛い。
浅尾が汲んでくれた水道水が、笑える。
吉井も慌てて来て、私の冷蔵庫見て、さらに慌てたことだろう。
「だから、玄米茶だったんだ…ふふ」
ごくりと飲んでから、またベットに横になった。