風が、吹いた



「ーへ?」




私よりもさらに無愛想な浅尾が、まさかそんなことを言うなんて予想すらしていなかったので、戸惑う。



まぁ、浅尾と話したことも大してないから、勝手なイメージなのかもしれないが。




「貸して。」




呆然としていると、いつの間にか、隣の席に座った浅尾が、私の手から紙の束を奪う。



ぽかんと口を開けたまま、その様子を見ていたが、我にかえって、慌てて浅尾の手元にあるプリントを取り返そうとした。




「いいよ、やらなくて。浅尾、部活あるんじゃないの?行きなよ」




しかし、浅尾は譲らない。
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