風が、吹いた
後輩の言葉の端々から感じられる嫌な感じ。
諌めてやりたい思いを、なんとか振り払って、東海林はごくりと唾を飲む。
意を決して、コンコンと、倉本が気づけるようにガラスをノックした。
すると、倉本がはっとした表情でこちらに気づき―
軽く手を上げて、すぐにふぃと顔を背け、また細菌と会話を始めた。
「いや、こんにちはの時間じゃねーから…」
思わず突っ込みしてしまう。
「ね。私だって何回か話しかけてはいるんですよ、勿論。でも、毎回あんな感じ。」
そう言って、加賀美は休憩スペースへと足を向けた。
東海林はそんな彼女を目で追ってから、もう一度倉本の横顔を見つめて、はぁ、と溜め息を吐くと、自分も休憩スペースへと向かった。