風が、吹いた
「今日は部活は臨時で休みだったんだ。」
できあがった名簿やアンケートの束をまとめていると、浅尾が呟くように言った。
「だから、制服だったんだ。」
と言うと、うん、と頷く。
「倉本が俺が部活やってるって知ってると思わなかった。」
立ち上がって鞄を肩に掛けて、さらに書類の束を両手で持とうとすると、横から手がのびてきて、浅尾の方が先にそれを掴んだ。
「失礼な。一応同じクラスなんだし。それくらい知ってるよ。」
やや口を尖らせて、言い切ると。
「じゃ、俺、何部?」
間髪入れずに浅尾が質問してくるから、答えに窮する。
「…すみません、知りません。」
こういうときは、潔く謝るに限る。