風が、吹いた
残された私は、また、さっきしていたのと同じように、空を見上げる。
そして、手の平を上に真っ直ぐに伸ばして、掴めないかと、考える。
私の、守りたいもの。
私を、守ってくれるもの。
ねぇ、
いつの間にか、
貴方は、
私の中でどんどんと大きくなっていって、
忘れてしまうには、
育ちすぎてしまったの。
思えば私は、大切に守られてばかりだったから。
今度は、私が貴方とのこの記憶を守りたい。
あの頃は無力で何もできなかったけど、
もしも、また、出逢えたなら、
今度は私が、
貴方を、守りたい。
そう思っていたのに―