風が、吹いた
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新規患者の受付が終わり、予約患者ばかりが椅子に座り、清算が終わるまでの待ち時間を持て余している広いフロア。
「ですから」
はぁ、と呆れたような溜め息をついて、受付の人がカウンターに肘を着き、頭を抱えた。
「何度も言っていますよね?嘉納孝一なんて人間は当院にはいません。」
これで、何回目のやりとりかわからない。
彼に会いに行こうと決めた私は、妨害を回避する名案など思いつかず、真っ向勝負に挑んだ。
道中阻まれることも予想できたが、どうしてか、それはなかった。
案外上手い具合に、トントン行くのかなと淡い期待を抱きながら病院に到着。
世界はそんなに甘くないということを痛感している。
「いーえ!居る筈なんです!お願いします。どうしても、会わなくちゃいけないんです!知り合いなんです!」
傍目から見ても、噛み合っていない会話に、周囲もそれとなく耳をそばだてている。
恐らく、同情票は受付に集まっていることだろう。
新規患者の受付が終わり、予約患者ばかりが椅子に座り、清算が終わるまでの待ち時間を持て余している広いフロア。
「ですから」
はぁ、と呆れたような溜め息をついて、受付の人がカウンターに肘を着き、頭を抱えた。
「何度も言っていますよね?嘉納孝一なんて人間は当院にはいません。」
これで、何回目のやりとりかわからない。
彼に会いに行こうと決めた私は、妨害を回避する名案など思いつかず、真っ向勝負に挑んだ。
道中阻まれることも予想できたが、どうしてか、それはなかった。
案外上手い具合に、トントン行くのかなと淡い期待を抱きながら病院に到着。
世界はそんなに甘くないということを痛感している。
「いーえ!居る筈なんです!お願いします。どうしても、会わなくちゃいけないんです!知り合いなんです!」
傍目から見ても、噛み合っていない会話に、周囲もそれとなく耳をそばだてている。
恐らく、同情票は受付に集まっていることだろう。