風が、吹いた
クラクションが鳴らされて、私を引っ張ったスーツの男が車から出てきて憤る。
「なんなんだ!?お前ら、ここは出口だぞ!」
ガチャリと音がしたかと思うと、白い車の運転席と助手席のドアが、同時に開いた。
「知ってるよー?だって、わざとだもん♪」
短い髪をさらりと揺らして、助手席の女が笑う。
「志井名さんに、お話があるんです。」
運転席から出てきた長身の女は淡々とした口調で話し、長い髪を鬱陶しそうに手で払った。
「な、そんなこと許すわけ…」
動揺しながらも対峙する男は厳しい顔で言いかける。
が。
ガチャリ。
今度はロールスロイスの後部のドアが開く。
「!?」
それに気づいた男が後ろを振り返ると。