風が、吹いた
その後ろ姿を、寂しくも嬉しい気持ちで見送りながら、浅尾が呟く。
「あとは、自分たちで切り開くしかねーよな」
「もう、大丈夫じゃない?きっと。」
吉井が、お疲れ!と浅尾の肩を軽く叩いた。
「私も、責任は果たせた気がします。ここの所実験できてないせいで、私の大事な細菌も多いに犠牲になりましたし…早く帰りましょう。」
ふぁーあ、と欠伸を隠すこともせず、大胆に大口を開ける加賀美。
「…しっかし…すげぇな、これ」
加賀美が白いドアに手を掛けるのを横目で見ながら浅尾が関心したように言う。
「大蛇(オロチ)。気に入っているんです。」
「これ、格好良いよねー、私も気に入っちゃったなぁ」
助手席に吉井も乗り込んだ。