風が、吹いた
隠していたことが見つかってしまって、私の身体から力が抜けると、腕から手が解かれて、瞬間、パーカーをばさっとかぶせられる。
「ハンカチとかなくてごめんね。見ないから泣いていいよ」
それだけの言葉が、やけに涙腺を刺激した。
「俺、千晶のこと、前から知ってたよって言ったよね。」
ぽつりぽつりと、彼は話し出す。
「よく川沿いの道で、空、見てただろ。たまに見かけてた。」
先輩が地面に腰を下ろしたのが音でわかった。
「学校が同じだって、わかってから、校内でも見つけることがあって…でも」
位置と言葉を区切って、また、繋げる。
「違和感を感じたんだ。」