風が、吹いた
「学校での千晶は、早く帰りたそうにしてるのに、空を見てる千晶は家に帰りたくなさそうにしてた。」
独り言みたいに、ひたすら静かに紡がれる話に、一心に耳を傾ける。
「ずっと訊きたかった。どうして寂しいのに、ひとりでいようとするのって。」
それだけで、心がひきちぎれそうだ。
だけど、と彼はつなげる。
「俺も、わかるから。訊けなかった。」
認めてはいけないの。
「私…寂しくなんか…」
「言ったっていいんだよ。悪いことじゃない。」
でも認めたら、自分が壊れてしまいそうで。