君と奏でる音[前編]



「んー?なになに?幸ちゃんの知り合いなの?」
「知り合いっていうか幼なじみ。いつも言ってるじゃん?音楽バカの奴」
「あぁ。あの子か!」



僕はこの子にとってどんな認識をされているわけ!?
音楽バカって何吹き込んでんだっ!



「初めまして、八瀬狐乃羽(ヤセ コノハ)です」
「あ、えと。桐城奏介です。よろしく」
「知ってるよ」
「え?」


笑った顔は美しかった。
美少女とはこういう子のことを言うのだろうか。
にしても、今日が初対面のハズ…。
何故僕を知っている?



「名前だけ知ってたけど…本当に冴えない容姿だね…幸ちゃんの言ってたとおりだ」
「でしょ~」

「ねぇ、君は何故僕を知っているの…?」
「んー?そりゃ、"ピアニスト"目指していればみんな知ってるよ。知らない子なんていない」



"ピアニスト"…だと…?



「私は覚えてる。」






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