君と奏でる音[前編]
7年前の12月、僕はあるピアノのコンクールに出た。ピアノを習って半年。生まれて初めての舞台。
指導者の泉田先生は『何事も経験よ。楽しんで弾きなさい』と言った。
曲は『モーツァルト/きらきら星変奏曲』。
子供が弾きやすいように簡単にアレンジしたものだ。
弾く前は緊張して指が全然動かなかった。
でも、椅子に座って指を鍵に触れさせると自然とほぐれていった。
演奏が始まった。
何度もつまずきそうになった。心臓がバクバクして痛い。
でも楽しい!
指が軽くて、音が踊ってる。
会場いっぱいに音が響き、星が輝く。
『ずっと弾いていたいな』
心のそこから思った。
音楽はすばらしいと。