君と奏でる音[前編]
狐乃羽の秘密
桐城くんが出ていくと扉の前には幸ちゃんがいた。
すごく困った顔で。
俯いていて、いつもの幸ちゃんとは思えなかった。
でもすぐに悟る。
話を全て聞いていたのかな?
「幸ちゃん…?」
静かに言うと肩をビクっと振るわせて、ゆっくりと顔を上げた。
私は幸ちゃんの顔を見て胸が苦しくなった。
だって、泣くのを我慢しているんだもの。
、、、、
あのときと同じ顔。
「幸ちゃん、話…」
「なんでまた出るのっ!?」
私の言葉を遮るように幸ちゃんは怒鳴った。