君と奏でる音[前編]
入学式を終え僕らは教室に戻った。そこからすぐに下校となり生徒たちはそそくさに校門をでた。
桜並木を行く。
3年にもなればリア充の一つや二つ、あたりまえだ。
仲良く手を繋いでこの並木を歩く。
仲がよろしいようで…。
僕はそんな風にしか思わない。
なぜなら、僕には関係のないことだからだ。
ただ、こんなハートオーラバリバリの道は嫌いだからあえて違う道を歩く。
少し道を外れればそこはほぼ別世界みたいで、しんと静まり返っていた。
…誰かいる。
木に誰かがもたれ掛かっている。
目を凝らしてだんだん近づくとその人は僕に気づいた。