勇者の弟
第一章
狙われた皇女
この世界は、魔法という存在で生かされている。
空を浮かぶ大陸も、魔物を防ぐための結界も、空を飛ぶ箒も全て魔法という存在で作られている。
プレミアム大陸。
それが、この大陸の名前。別名、浮遊大陸。
魔法中心のこの国は強力な結界で守られており、魔物や魔獣は愚か、他の大陸の人間は一切近づけない独立された国。
唯一の移動手段は、城内に設置されているテレポート装置のみ。
至って平和なこの大陸の人々は皆、平和ボケしている。
無理もないわ、この国の王がこんなにも平和ボケしているのだから。
「ルナ、今日のルナも可愛いね」
「嬉しいけど、その台詞はもう聞き飽きたわ、お父様」
「ははは!これは一本、取られてしまったな。ふーむ・・・次は何を言おうか」
そう笑って違う褒め言葉を考える私の父、プレイアム王国現王・スウォン王。
私はその娘のルナ。
自分でも言うのもなんだが、自分の見た目は悪くないと思う。
今は亡きお母さまから受け継いだ琥珀のようにきれいな金の髪に、金色の瞳。真っ白な滑らかな肌。
お世辞かもしれないが、みんなからは「美しい」って良く褒められる。