いちご飴と君。


その場から翔くんが去った。


なぜか涙は出なかった。

もう、ちゃんと笑える気がしなかった。


「鈴森!」

「美雨!」

「美雨ちゃん!」

水上くんと恋乃ちゃんと倉田くんが来た。

心配そうな顔をして。


「羽立が不機嫌だったからもしかしてと思って!!」

「…恋乃ちゃん。心配してくれてありがと。」

にこ、と笑う。

笑えてる?恋乃ちゃん、私笑えてるかな?


「美雨…」

私を見て恋乃ちゃんは言葉が出ない、そんな感じの顔をした。


「鈴森、何があった?」

倉田くんが私に聞くけど、何にも言えない。


「美雨ちゃん、泣かないの?泣いていいんだよ??」

「水上くん。なんでだろうね、涙が出ないんだ。」


ほんと、不思議。

こんなことがあったらいつも私は泣くのに。


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