【短】あまく愛されたい
「喉渇いた?」
「うん、」
「ちょっと待ってて。今、水持ってくるから」
「…ありがとう。」
水を取りに行くために立ち上がる彼を、じっと見つめる。
その立ち姿は、スラッと背筋が伸ばされていて、美しい。
美脚すぎる長い脚は、一体誰からの遺伝なのだろう…。
それより、今の彼は、風邪を引いた私に対し随分優しい。
今まで以上に心配してくれる。
仕事の合間合間に、私の様子をわざわざ伺い、
『お腹すいた?』などと声も掛けてくれる。
付き合いは1年とかなり長いが、彼は仕事一色なのかと思っていた。
風邪を引くのも悪くない、と私は思う。