【短】あまく愛されたい
「はい、水持ってきた。氷入り」
仁さんが笑った。珍しい。
もう私には笑顔を見せてくんないと思った。
なんか無駄に泣きそうだよ。
「…ありがとう」
「まだ暑いでしょ?」
「まぁまぁ、」
「体温測りなよ」
彼にそう言われて、水を飲んだあとで体温を測ることにする。
彼から冷えた水を受け取ると、水を飲むためにマスクをはずし
水を口に流し込んだ。
――――ボタボタボタ。
あまりに勢いよく口に含んでしまい、口の端から水がこぼれてしまった。
「きゃっ、」
「あー、何やってんの」
だってだって…!
言い訳をしようと一瞬考え、止めた。