☆Friend&ship☆ -序章-
ふと思い立って背を向けたオリオンの首についた鎖を軽く引いた。
「なーお前さ、人間?」
「…」
大丈夫~?
「さっきの指示、明らかに普通うろたえるだろ。拡張だの言われてはい分かりましたなんてふつう言えないし」
「…今は、違う」
「ほんとだって。姿変えるのだって魔法なしでできるもんじゃないでしょ」
「…確かに人間じゃない。本来は悪魔科だ」
「やっぱり?俺鋭ーい」
「…」
「悪魔科かー苦労してんだなお前~」
「…」
オリオンはキュッと口を結んだ。
おいおい、あれか、いじられるの好きな感じ?
反応が、あははははははは…
「誰がドM…」
「あ、そこはこだわるんだww」
「…」
オリオンは首輪をきつく握ったようだった。
うーんと、黙り込んだオリオンを見つめゼウスはうなった。
「…やっぱしっくりこねー!そんまんまじゃダメか?」
黒い首輪がちゃりちゃりと音を立てる。
震えてる証拠。
「…」
「理想とかどーでもいいし。お前面白そうだっただけだし」
「…だって、ご主人様…」
俯いてフルフルと震えている。
「?」
「も、俺が嫌いだろ?」
掠れた声でオリオンは囁くように言ってそのまま倒れこむようにして膝をつきかける。
俺はすんでのところで上手く支えて、オリオンをもたれかからせる。
「さあな、どうだろ」
「…勝手にしろよ。俺はご主人様の人形だから」
諦めたようなその声が、妙に悲しげだった。