☆Friend&ship☆ -序章-
次の日の朝…
「早いんですね副船長」
「!」
見張り台から降りてきたタナトスは優雅にコーヒーを飲むキングを見た。
時刻は日付が変わってからまだ5時間と経たない頃。
「もう少しゆっくりしててもいい」
「緊張しまして…」
しかし緊張している新入りのクルーが朝から勝手にコーヒーなんて飲むものか。
「敬語は使わなくてもいい」
「そう」
タナトスはキッチンへ歩いていき、リズムよく料理を始める。
しばらく無言で、キングが切り出した。
「お前、今いくつなの?」
「15位だ」
残虐な氷の声。
草木が凍り付くようにさえ思える。
「まだ15なのか。じゃああいつと同い年だな」
「…あぁ…そうらしい…」
「危険信号」
「…」
なんのことだと言いたげにチラリとキングを見るタナトス。
嬉しそうにキングが笑った。
「お前がさ」
「…言っている意味がわからない」
「体と心のバランスがおかしいだろ、お前の」
「だから?」
「ほっとけっていうのか」
「お前には関係ないだろう」
「あるさ」
「お前は傷つかない。俺に構うな」
「15のガキがつべこべ言うなよバカが。お前が大切なんだよわかんねえか?俺が傷つかないからなんだよ。お前が苦しんでることくらい分かるんだよ俺には痛いほど」
タナトスの手の中のトマトが無惨に砕け散った。
「…嘘だ。分からない、絶対にな」
残酷な嘲りは少なくともキングに向いてはいなかった。
(悲しそうな目で、俺は自分を嘲る。
そうだ二度と赦されないから……)